project

S_PIC5197
S_PIC5191
S_PIC5183
S_PIC5019
S_PIC5012
S_PIC5030
S_PIC5052
S_PIC5091
S_PIC5073
S_PIC5105
S_PIC5111
S_PIC5159
S_PIC5164
S_PIC5171
S_PIC4968
S_PIC4949
S_PIC4893
S_PIC4940
S_PIC4922
S_PIC4908
S_PIC5202

nishinakasu泥川武士

interior_2019

福岡市の中心地から車で10分程度、少し離れた中央区平尾にて8年間、予約の取れないイタリアンとして現在も人気のあるメルモーゾダ・ドロカワの2号店である。
今回の「nishinakasu泥川武士」は名前の通り、新たに選んだ土地の名前と本名のみ。
イタリアンという名前はあえて冠していない。 シェフの泥川武士氏の料理は丁寧な下処理と手間をかけ仕込まれた、イタリアンの調理法をベースに和食のエッセンスと地の食材が多く取り入れられた、唯一無二の「ドロカワスタイル」の料理である。
素材そのものを活かし、天然の素材のみでゆっくり手間をかけ、丁寧に仕込まれたシェフの料理たちは、その提供の手法も盛り付けも、和食のフルコースを食すように美しく静かに、次々に提供され、まさにこの場所この空間でしか味わえない、他とは比べようのない「シェフ武士・泥川の料理」そのものである。
その料理達に合わせた全体のデザインも、天然の素材と職人の技が最大限に生きた、伊と和の融合を目指した新鮮な素材と手の込んだディテールで構成されている。 エントランスアプローチはイタリアの*spoltedwood「truffle beech」を羽目板風に仕上げ、大きくRを描いた*越前手透和紙の天井に映える間接照明の灯と、客席入り口の躙口と相まり「伊和融合」の雰囲気を醸し出している。
エントランスの狭い露地から躙口をくぐり抜け広がる客席は、一転してゆったりとしたカウンタ−7席だけの特別な空間である。 ベースとなる天板と背面化粧の木材は、エントランスの荒々しい印象のtruffle beechから一転し、主役となる料理を引き立てるため優しく美しい印象のイタリアンウォールナットで構成。ただしその目はあえて揃えず大きくランダムに。一見樹種がかわからないほど複雑に特別に仕上げていただいている。 さらにそのカウンターと一体となったChef's counter topは、完璧に仕込まれた食材を美しく仕上げるシェフの手元全てがお客様全員から見えるよう客席カウンターのさらに5cm上。一枚板のDEKTON tileの上で、シェフの静かで美しい料理の全てが盛付けまで見える設計となっている。

全体のLighting designは中村達基氏。伊と和の融合というコンセプトをベースに、カウンター上にはどの箇所にフルコース料理の器があっても美しく均等に光が照らすようフラットな光とし、その他アプローチやベース照明は行灯と間接照明により、素材の質感と陰影を最大限に美しく魅せるプランとなっている。
「nishinakasu泥川武士」のGraphic designはニシダトシカズ氏。こちらも料理と空間とコンセプトと同じく、イタリアの伝統書体「Bodoni」と、日本の明朝と楷書を掛け合わせたオリジナル書体との間を刀で切った軌跡のような大胆なスラッシュが洒脱なデザインとなっている。
店内の音楽も、ビルの構造上無窓空間のここだけのために音楽家の寺岡真央女氏に依頼し、風や雨などの自然の音をレコーディングし、ピアノやチェロなどの柔らかな音とミキシングしたdorokawa original musicを作成し、気の利いた隠し味となっている。

*spoltedwood:天然の木材に菌や何かしらの外的要因によって木材の内部組織が変化した木材。特徴として木目の中に自然に黒い文様が入った、人工的ではない美しい文様が現れる。今回大阪の安多化粧合板株式会社さんに依頼し、天然のビーチ材にトリュフの菌が付着したことで自然に黒い文様が現れたビーチ材を使用している。椎茸が作られる工程のようでいて、それが自然が作ってしまった木。まさに今回のイタリアンと和の融合のようで面白い。

*越前手透和紙:今回和紙はシェフの生まれ故郷である福井県越前町の手漉き和紙を使用。1500年の歴史を持つ越前和紙の中でも特に古い歴史を持つ株式会社滝製紙所さんに依頼。雲肌の美しい和紙が間接照明により更に明確に表情が現れ空間を引き立てている。

・・・またデザインとはまた異なる視線から・・・

実は泥川さんの料理スタイルも実は独特で、今時の料理人さんの多くの様にスチームコンベクションオーブンやブラストチラーなどの最新の器具は一切使用せず、昔ながらのコンロの火口と自然対流オーブンの技のみで時間をかけて仕上げていきます。最新の厨房器具は作業効率と仕上りを高精度のコンピューターで構成しているため、どうしても器具としての存在が目立ってしまいます。独立厨房でしたらそれでも何も問題はないのですが、今回のような「魅せるカウンタースタイル」の場合、その最新器具の場所達とお客様からの見栄がかりにはどうしても相容れない問題が発生することが多くあるのですが、今回の泥川さんのようにシンプルな器具のみで厨房を構成された場合、お客様から見た厨房は器具構成が至ってシンプルとなり、非常に美しく無駄のないカウンターキッチンとして魅せることが可能になります。そういう点では、もしかするとプロのレストランでありながら家庭のキッチンに一番近い構成かもしれません。何かの参考になれば是非。

TGDA_GAKU

←LIST