interior_2018
福岡市中央区・渡辺通り沿い、FTビルの地下にある老舗レストランの全面リニューアルプロジェクトである。
1991年、福岡ではホテル・イルパラッツォがオープンした翌年、時代はバブル景気とポストモダンの面影が残る平成3年にリストランテ・フォンタナは生まれました。それから27年。アンティークの赤煉瓦と円形の壁が印象的で瀟洒なレストランは、いつの時代も変わらずずっと福岡の皆様に世代を超え愛されてきました。今回の改装計画にあたり我々が一番目指したものは、その27年間の歴史を壊すことなく、昔の印象を残しつつかつこれから始まる今の時代に適応した、後30年新たに続いていくことが可能な美しい進化を遂げることでした。
『過去・現在・未来へと続く時間軸』
1991年に建設されたFTビルのデザインコンセプトは過去・現在・未来へと続く時間軸。その時間軸が建物全体で地階から上階へと続いていくという綿密なテーマは今も大切に守られています。その中でフォンタナのある地下1Fは過去をテーマとしたフロアであることから、新生フォンタナの大きなデザインの軸は、現在のモダンなデザインを極力省いたクラシカルな要素とディテールで構成しました。
また、グループ企業の顔となるリストランテでもあることから、エントランスには大切なお客様をお迎えする迎賓館としてのギャラリー機能も備えた新しいスタイルのリストランテとして計画しています。
『デザインコンセプトは「時の積層」』
「古くから続く由緒あるフォンタナ家」の玄関をイメージしデザインした、エントランスと円形ホールからダイニングへと続く中間領域には回廊型のギャラリーを挟む計画としており、エントランスからギャラリー、そしてダイニングへと徐々に高まる期待感と同時に絵画に触れる豊かな時間など、食事を楽しむ時間だけでなくお客様それぞれの豊かな時間が重なり合うようデザインしています。
空間を構成する要素として、旧フォンタナのイメージを最大限残すよう空間全体に円形のモチーフを使用し、ダイニングの天井にはイタリア・ミラノ大聖堂の象徴「ローズ・ウィンドウ」を象った印象的な天井画を大理石モザイクで施しています。またこの新たなフォンタナのシンボルは、エントランスドア両脇のアルミ鋳造造作やレストランのシンボルマークとしても新たに計画されています。
また旧店舗の象徴であったアンティークの赤煉瓦は解体後も可能な限り再利用するよう計画。エントランス周辺には今までのお客様へも一目見懐かしく感じていただけるようそのまま壁へ再配置、そしてメインダイニングの壁面には解体後粉砕した赤煉瓦の粉と博多赤土を使用した土を特別に生成し、土自体を積み固めながら壁を形成していく左官技術「版築工法」を現代的に再現することにより、27年の時の蓄積を赤土壁の地層柄として再現しています。
(またこれまでクローズであったキッチンをオープンキッチンに変更、ダイニングホールにはお客様も入ることのできるウォークインワインセラーも完備、ホール壁面には新たに120inchプロジェクターも装備し、個室を1室から新たに8人から12人まで対応可能な2個室に変更するなど、プライベートな利用からビジネスミーティング、コンパクトなパーティー利用など、よりいっそうお客様にお料理だけでなく空間自体も楽しんでいただけるような魅力満載のレストランとなるよう計画しています。)
プロジェクトメンバー
art director : 梶原 道生_kajiwara branding design+よしざき はなえ
design director : 髙須 学_TGDA
interior design : 手島 紗夜_TGDA
Lighting design : 中村 達基_BRANCH Lighting Design
Lighting equipment design : 永冨裕 幸_NEW LIGHT POTTERY
furniture design : 株式会社カッシーナ・イクスシー
Construction : 長崎船舶装備株式会社・株式会社リヒテック・株式会社ラックランド
TGDA_gaku