interior_2024
神楽坂にある日本茶とデザートコースのお店[VERT]
2022年のオープンから早2年でのステップアップとして、昨年11月に移転リニューアルオープン。
オーナーパティシエ田中氏の作り出すコース料理のコンセプトは『茶湊流水(ちゃそうりゅうすい)』
茶湊流水とは田中氏の造語であり、『人や文化が行きつく場所(すなわち湊)で、水が流れるように気ままにお茶を楽しもう』という意味であり、その想いを込めて設計にも随所に茶、食、日本文化、四季の美しさなどに思いを馳せ意匠計画を行なった。
店内の構成は『露路』『客室』『茶室』の3室構成。
高天井な店舗躯体のエントランスを「神楽坂の街」と見立てた『露路』は、敢えて躯体に何も手を施さずに塗布防水素地の床、LGSの下地をそのまま利用した壁、自然光のみの空間となっている。
狭い露路を通り抜けた先にある躙口をくぐり入る『客室』は、室内全体の照度を極限まで落とした漆黒の空間である。
中央に「円相」を現した真円のカウンター、そのカウンターの中心には水盤が設けられ、四季を彩る花飾りが田中氏の多彩な才能を窺わせる。客室天井の中心から細長く降り設えられた、照明に鈍く光る銅管。その銅管を伝い水盤に落ちる雫、そして光る水面。光と影、そして水と音。閉じられた空間の中で静寂な自然を感じる空間の中で、客人達は聴覚と視覚、味覚、嗅覚、触覚までもフルに使い、田中氏の審美眼にて揃えられた美しい器に彩られた至高のデザートの数々を一品一品、思い存分集中して味わい愉しむことができる。
コース料理を食べ終え、客室を出た先には土壁調の左官仕上げで覆われた『茶室』が現れる。
漆黒の中、濃密な時間を過ごした客人たちは、左官仕上げと手隙和紙の壁で覆われ、天井の炭黒竹のスリットからはスポットライトの光がストライプ状に陰影を作る穏やかな空間にてゆっくりと、最後のお茶の一服を嗜み『茶湊流水』という旅の余韻を締めくくることができる。
日本茶とデザートのフルコースという新たな料理ジャンルの挑戦を、空間設計という味付け=演出も一体となり、お客様の来店から帰路に着くまで、他では得難い体験として、存分に愉しんでいただける店舗つくりを目指した。
VERT|ヴェール
東京都新宿区神楽坂3-1 かくれんぼ横丁会館201
完全予約制
2025年1月より14時/19時の2部制、価格は23,000円(税込)
(予約はTableCheckから)
https://www.instagram.com/vert_jpn
TGDA_Gaku