interior_2016
大きな窓が1面。店内のどこに座っても福岡の繁華街、中洲の1等地「西中洲」の川が側に見えるロケーションのフレンチレストラン。店名の『L'eau Blanche』とはフランス語で『白い水』を意味し、シェフ自らの苗字、白水を冠しています。シェフの料理を初めて食べたのはおそらく3年ほど前ですが、その時のフルコースすべての味の優しさと計算された繊細さ、そして何より器の上に描かれた料理の色彩の美しさに心底感動したことを今でも鮮明に覚えています。今回の空間デザインで一番注意注力したことは「料理の器」としての空間に徹すること。料理が主役となる、料理が「図」となるための「地」としての白い器を空間で表現することに心がけています。手法的には土の白、紙(手漉和紙)の白、木の白、セメントの白、そして鉄の白焼付など、様々な異なる素材の「白=素の色」を重ね合わせることにより空間全体で白い水の流れを表現しています。ただし「白」と言っても実際は「灰色」。夜耐えうるギリギリの白です。また床材には濃い藍で染色した1本物のオーク材を用いあえて芋貼り、ジョイント部分にキラリと光るステンレスの鏡面目地を走らせることにより、店内に窓外の川底と波の輝きを表現し、床と窓外の川が一体となるように計画し、空間全体でシェフの料理のための土台、そしてこのロケーションでこその店となるよう注力しました。また、今回のお店はネオビストロスタイルのレストランということもあり、通常のグランメゾンスタイルの店舗のような緻密な作り込みを極力避けつつ、素の潔さと清潔感や、周辺環境の借景の良さを生かしながら、料理の優しさとリンクするように空間全体も意識的に柔らかくまとめました。
TGD_gaku