Project

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南山荘通りのリノベーション

interior_2024

福岡市中央区と南区の境に位置する平和地区、その住宅街の一角にある自然豊かな市民の憩いの場として古くから親しまれている鴻巣山。その麓にある築27年集合住宅のリノベーションプロジェクトです。
当初のレイアウトプランは少し変形タイプの2LDKプランでした。おそらく新築当時のレイアウトはリビン グの隣に和室を有したコンパクトな3LDKタイプだったと思われます。今回のプロジェクトのクライアントは料理や器などの趣味を持つご夫婦2人と6歳の息子様の3人家族。息子様が物心つくまではその生活の中心には常にダイニングテーブルが存在し、皆で一緒に料理を楽しみ後片付け。親子でお菓子を作ったり、時には絵を描き、工作を作り、宿題もおそらくここ。父もたまにはダイニン グで仕事もするでしょう。そんな生活の、おそらく大半を過ごすであろうダイニングテーブルを生活空間の中心に据え置きつつ、後の個室増設に対応すること。この考えが今回のプランニングの大きな柱となりました。
梁が大きく、梁下の天井高が取れない区画形状のため、レイアウトの基準となる壁の位置は梁下に設定し、リビングの天井高さを確保。そこで正方形に近い形となるリビングの中心に、日常の3人での食事に加え、家事、勉強。この3つが同時にできるダイニングテーブルを配置しています。このダイニングには友人知人を招いた際のパーティースタイルで5~6、多い時は8人規模。そんなフレキシブルな機能を持ったテーブルを考えていたら、今回のグランドピアノ型にテーブルと一体となったアイランドキッチンが出来上がりました。素材にはこのマンションの構造的特徴(エレベータの狭いビルの上階)=キッチン天板に1枚板の大きな素材が利用できない。という条件から「人研ぎ(人造石研ぎ出し仕上げ)」を採用しました。昔よく見かけた幼稚園や公園の手洗い場、というとピンとくる方も多いと思います。分割制作した木製天板を現地で組み合わせ、職人さんにその天板上に「人研ぎ」を施していただきました。とても大変で手間のかかる作業で、現在では施工できる職人さんも限られてきている伝統工法なのですが、今回いつも仕事でご一緒している左官職人の方々に無理を言って、施工を行っていただきました。 また、これは今回のリノベーションを通した共通のテーマなのですが、空間を構成する多くの建材(床壁天井 などの素材)には、合理的に作られた新建材ではなく、極力体に優しい天然素材を利用したい。そのコンセプトにも通じています。
壁面の素材は「ドイツ本漆喰」を採用しています。成分は大理石、石灰、メチルセルロース(植物繊維を原料として抽出された水溶性セルロースで人体に無害)。放吸湿、防臭防カビ、呼吸をする壁です。またペンキのようにローラでにコロコロと塗り、また塗り重ねることができること。今回の施工では、お施主様自らが数日かけてほぼ全ての壁面にDIYで塗装を施しました。量産型のビニルクロスが決して悪いわけではありませんが、汚れたらサンドペーパーで少しやする、大きく汚れたらまた上から塗り重ねる。そうやって住まい手と一緒に育っていく壁も1つの選択肢なのではと思っています。
リビングの床材はオークの無垢フローリング材。1,8mのジョイントの無い綺麗なオーク材を肌触りの良いオスモオイル(天然オイル)で仕上げています。寝室や水回りの床材にはリノリウム材を利用。リノリウムは1863年にイギリスで生まれた素材で、亜麻仁油、石灰石、木粉、ロジン(松脂)などの天然素材で構成されており、20世紀に塩ビ製の材料が登場するまでは広く床材として利用されていた素材です。壁の話同様、裸足で歩いて心地よく、身体と環境に優しい素材で日中を過ごしたい。そういう思いから採用しています。
基本となる照明は壁面に取り付けた裸電球。多くの商業空間(ハレの場)を設計していると、ダウンライトや最先端の技術を駆使した最新型の照明器具を用いることも多いのですが、住宅という日常空間(ケの場)においては、素材の話と同様、極力昔から存在するエジソン電球が一番心安らぐ。そう思っています。ガラスの中で小さく火が灯ることで光を発するエジソン電球。今回、さまざまな国内外メーカーの最新LED電球を取り寄せることで、本来のエジソン電球に一番形状の近い、且つ発光具合も本来のそれに限りなく近いものを探し出し、オリジナルデザインのソケットと組み合わせることで、古くて新しいブラケットライトをデザインしています。

TGDA_Gaku