Project

THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
THE CONTINENTAL ROYAL & Got
THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
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THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
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THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
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THE CONTINENTAL ROYAL & Goh
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THE CONTINENTAL ROYAL & Goh

THE CONTINENTAL ROYAL & Goh

interior_2025

2025年4月24日に開業したワン・フクオカ・ビルディング(ワンビル)の1Fに新しくオープンしたビストロノミー「THE CONTINENTAL ROYAL & Goh」の空間設計プロジェクトである。

ワンビルとは福岡市の再開発促進策「天神ビックバン」の中でも最大規模であり、その中心として旧福岡ビル・天神コア・天神ビブレの3棟を一体的に再開発した大型ビルで、「都市のコモディティ化」からの脱却を求め「オンとオフ、アジアと福岡・九州、働きと暮らし」などの『創造交差点』をコンセプトに、地下2階から地上5階までの商業施設と上階のオフィス、18,19階の都市型ホテルを持った大型複合ビルである。


そして今回のプロジェクトは全国でも馴染みのあるファミリーレストラン「ROYALHOST」の原点でもあり、1953年に開業した本格フランス料理店「ロイヤル中洲本店(現:花の木)」の系譜を受け継ぎ、かつての旧福岡ビル内で1962年にて開業された「コンチネンタルロイヤル」(2024年に惜しまれつつ閉店)の創業の地での復活となる店舗設計プロジェクトとして計画された。

昔からのレストランと新しいバルの融合体

新プロジェクトでは60年以上にわたり愛されてきたコンチネンタルのその伝統(ロイヤルらしさ)を失う事なく今の時代に合わせた新しい風を取り入れるべく、ソフト面では既存のロイヤル王道の定番メニューに加え福岡を代表するフレンチシェフ福山剛氏の監修のもと、新たな顧客層の呼び込みのための新メニュー開発が行われることとなった。
その新旧入り混じる新たな顧客層に向けたメニュー構成を軸に、我々店舗設計チームでは今までのレストラン然とした仕様の空間レイアウトと同時に、夕方〜夜間営業の客層確保のためのビストロノミースタイルのレイアウトというふたつの異なった機能の同時成立を模索することが必要となった。

東西に内外の長い通路を持った横長区画


計画区画は西に館内の主要幹線通路、東に因幡町通り(1年後には遊歩道となる計画)の外部通路に面した横長区画の1Fであり、いわば施設の顔となる区画であった。将来的にはビル内外どちらからでもお客様がアクセス可能であり、かつそのお客様を円滑にアテンドできる動線と同時にレストランとバル=ふたつの異なった目的の来店客を同時に満足させることのできるレイアウトに必要であった。


DESIGN CONCEPT |『TIME CONTRAST』

ロイヤルの伝統と革新、古くからの顧客の方々への惜しみないサービスと愛情そしてクオリティ、同時に新たな顧客層・新たなスタイルへの挑戦という、時代を超えるもしくは時代を過去から未来へ繋げるという想いと同時に、「創造交差点」というビル全体のコンセプトとの並走を考え、これまでのコンチネンタルらしさ(ロイヤルらしさ)=Classic、今と未来を見据えた新たな挑戦や革新=Modernと捉え、この異なった2つ機能や価値観を同時対比もしくはシークエンスに合わせてレイヤー化することができないかと考え、デザインコンセプトを『TIME CONTRAST=時間のコントラスト』とした。


まず機能面では区画中央にメイン厨房とオープンキッチンを集約させ「空間を絞る」ことで、区画北側に内外からのエントランス機能を集約させ、絞られた中間地点に街路のような通路を作ることとした。その街路に沿ってキッチンを開くことでエントランス付近のビストロノミースタイルのバルゾーン、通路沿い(オープンキッチン沿い)のシェフカウンタースタイル、通路奥の重厚感があり落ち着いたレストランソーンへと飲食機能の分散を図ることで、お客様の来店動機、利用スタイルに合わせた空間の使い分け(もしくは同時利用)を可能とした。また区画中央にキッチン機能を集約させたことでオープンキッチンから客席全てが一望できる作りとなっており、スタッフ動線の効率化、隅々まで行きわたるサービス目線の集約化を図ることが可能となった。


VMD的計画で、区画外周回りを旧街区風なイメージのデザインディテールと落ち着いたグレージュベースの色合い(=Classic)とし、その街区のコア部分(厨房部分)にエッジの効いたミニマルなディテールにビビットな赤とグレイッシュトーンの赤を織り交ぜた新しい風(=Modern)を挿入することで、エントランスバルから中央の通路を通り最奥のレストランゾーンまでお客様のシークエンスでは左右に新旧(ClassicとModern、もしくはグレーベージュと赤)の対比が、また外部の因幡町通りからは横長の区画全体がバルからレストランへ変わっていく(もしくはClassic(グレーベージュ)の中にModern(赤)がある)という、空間の全貌が視覚的に楽しめるよう計画した。

マテリアルや店舗内プロダクトには、旧コンチネンタルにてアイコニックに存在していたものを新しい解釈として再利用、もしくは新たにリデザインを施した。
赤い絨毯や連続するクラシカルな壁面意匠とブラケットライト、腰壁意匠などの組み合わせはその形を残しつつ、より現代的なマテリアルへと変化させた。象徴的な赤いシャンデリアはその金物のR形状を、新たに電線コードのたわみを利用した意匠として取り入れリデザインした。また、同じく象徴的であったクリスタルガラスのシャンデリアは、そのガラス部分を再利用することで新しくテーブルライトを制作。店内の至る所に点在させることで、新旧の素材とデザインの融合を図った。また同時に、残ったクリスタルガラスの端材は富山の鳥居セメント工業に依頼し、その端材を散りばめたオリジナルの赤いテラゾーを制作。新しいTHE CONTINENTAL ROYAL & Goh の象徴となるメインカウンターの材料として生まれ変わった。




クライアントのコンセプチュアルな要望とリアルな要望、エンドユーザーの使い勝手や居心地などの来店動機や無意識層での願望、その異なったふたつの願望をデザインを通して同時成立させることが、改めて我々空間設計者のリアルな技術として重要だと改めて感じさせるプロジェクトとなった。


TGDA_gaku